LEMSとは?

ランバート・イートン筋無力症候群(LEMS)は、四肢の筋力低下、ドライマウスや便秘などの自律神経症状などを特徴とし、進行すると歩行や起立が困難になる神経筋疾患です。
主に、四肢の筋力低下と腱反射低下、自律神経症状を呈する神経筋接合部の自己免疫疾患として発症します。

ランバート・イートン筋無力症候群(Lambert-Eaton myasthenic syndrome:LEMS)は、シナプス前終末に局在する活性帯からのアセチルコリン放出障害により、四肢の筋力低下と腱反射低下、自律神経症状を呈する神経筋接合部・自律神経の自己免疫疾患として発症します1)~3)
1953年、英国のH. J.アンダーソン博士らが進行性筋力低下を主訴とした小細胞肺癌例を報告4)した。1957年、米国のE.H.ランバート博士とL.M.イートン博士により、悪性腫瘍と関連する神経筋接合部異常を持つ6名の患者が重症筋無力症(MG)の電気生理学的特徴と異なる所見を呈することが報告され5)、研究が発展していきました。
1980年代にはLEMS研究に関して大きな進歩がみられたと、わが国のガイドライン6)で解説されています。一つは、LEMSでは神経終末部の活性帯に局在する電位依存性カルシウムチャネル(voltage-gated calcium channel:VGCC)に対する自己抗体が関与していることが明らかになったこと、もう一つはLEMSの神経症状として自律神経症状が認知されたことです。
1990年代には病原性自己抗体の測定法が開発され、LEMSの臨床像が詳細に解明されました。

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  • Eaton LM, et al.; J Am Med Assoc 1957; 163: 1117-1124.
  • 日本神経学会監修: 重症筋無力症/ランバート・イートン筋無力症候群診療ガイドライン2022(南江堂, 2022年5月).