LEMSの診断の第一歩は、臨床的特徴を理解することです。中核となる症状は、四肢近位部の筋力低下、腱反射の低下、自律神経障害です。特に、自律神経症状を見逃さないことが大事です。一方、肺小細胞癌など腫瘍との関連を念頭に置くことも重要です。なぜならば、LEMSの診断が癌の早期発見につながるからです。
わが国の臨床研究では、自律神経症状のなかでは、ドライマウス、便秘、性機能障害(勃起不全)が高頻度にみられています1)。
筋力低下が軽度である場合や小脳失調を合併する場合は、LEMSの診断にたどりつくまでに時間を要することがあるとされています2,3)。また、LEMSとの鑑別を要する疾患としてギラン・バレー症候群、筋萎縮性側索硬化症がよく挙げられ4,5,6,7)、LEMSを考慮するときは電気生理学的検査を行うことが重要です。
LEMSで高頻度にみられる自律神経症状
-
ドライマウス
-
便秘
-
性機能障害(勃起不全)
- Nakao YK,et al.: Neurology 2002; 59: 1773-1775.
- Denys EH, et al.: Muscle Nerve 2014; 49: 764-767.
- Gökçal E, et al.: Noro Psikiyatr Ars 2017; 54: 189-190.
- Titulaer MJ,et al.: Lancet Neurol 2011; 10: 1098-1107.
- Hülsbrink R, et al.: Clin Neurophysiol 2014; 125: 2328-2336.
- van Doorn PA, et al.: Lancet Neuroi 2008; 7: 939-950.
- Kiernan MC, et al.: Lancet 2011; 377: 942-955.
患者にすべき質問
患者さんにLEMSの疑いがある場合、話を進めるのに役立つ質問をご紹介します。
椅子から立ち上がりにくいと感じたのは、いつからですか?
最近、口が渇くと感じることはありますか?
最近、便秘になることが多くありませんか?
喫煙歴や原因不明の体重減少はありますか?